ニュース

第1シードのバブリンカが初優勝、伏兵ペアにストレート勝ち

[シングルス決勝]
○スタン・バブリンカ(スイス) 6-2,6-4 ●ブノワ・ペア(フランス)

チャンピオンシップを懸けた試合としては緊迫した場面は少なく、試合時間はわずか1時間5分と淡白な印象が残った。その陰には、二つの点でお互いにやりにくさがあった。一つはペアが左足首や腱を痛めて全力を出し切れない状態だったこと。そして、親友であるバブリンカはそれを知っていてコートで相対したことだった。

ペアは前日の錦織圭との準決勝でも左足首の処置を受けた。さらに別の個所も悪化し、「朝起きた時はほとんど歩けなかった。開始1時間前まで、試合ができるかどうかわからなかった」という。世界ランキング32位は、注射を打つなどの処置をして自身ツアー4度目の決勝に臨んだ。「決勝に出ることも夢だったし、さらにその相手がスタンというのはもっと大きな夢だった」。ツアーの予選に出るレベルだった数年前にバブリンカと親しくなり、いつか優勝を争えればいいというのが二人が願っていたことだった。ペアが今季急成長して、その時が東京でやってきた。

一方のバブリンカも「すごく親しい選手と対戦するのはちょっと他の場合とは違うし、彼がけがをしていることもあった」と、複雑な心境を隠さなかった。しかし、プレーが始まれば、世界ランキング4位の力と技を存分に見せた。特に、ペアのセカンドサーブになれば、ラリーでの展開力に差があり、得点率63%と数字にも表れた。左手で押し込むように放つペアのバックハンドにも力負けしない。しっかりと踏み込んで、片手打ちのバックハンドでクロスにストレートにウィナーを奪い、観客をどよめかせた。

流れが変わりそうだった場面は、第2セットの第3ゲームぐらいだろう。40-0としたあと、簡単な決め球をアウトしたことをきっかけに立て続けに失点した。だが、デュースを重ねた末にここを切り抜けたあとは危なげなかった。ペアは、時折緩いボールを交えたり、凡ミスが続いた後に突然、大胆なショットを決めたりと予測が難しいプレースタイル。だが、第1シードは「よく一緒に練習しているし、驚かされることはなかった。(相手が)いろいろできないようにアグレッシブに、素早く動いて重いボールで対処した」と万全だった。

この優勝で、昨年、初戦敗退した嫌な思い出も払しょくできた。バブリンカは、記者会見で優勝トロフィーに刻まれたそうそうたる歴代優勝者の名前をうれしそうに見つめた。思い出深い場所になった東京に「来年も必ず戻ってきたい」というのは本音だろう。

(広報委員会)